SACSからSOCSへ。スズキの油冷エンジンに迫る 後編

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ーー業務用 マルゼン 上棚 SPT30-18L 【 厨房機器 】 【 メーカー直送/後払い決済不可 】 【ECJ】から続けてスズキの油冷エンジンに迫る。

SACS=スズキ・アドバンスド・クーリング・システムと名付けられた初代油冷は1985年型GSX-R750に搭載されると、瞬く間に油冷の名と高性能を浸透させた。乾燥176kgの軽量に、リッタークラス並みの100ps。1986年にはGSX-R1100を加え、ツアラーにもネイキッドにも積まれ、2006年までの20年超を過ごす長寿エンジンとなった。

ただ、騒音など各種規制への適合が難しくなり、歴史は終わった……かのように見えた。しかし、スズキは油冷への可能性を探っていた。2015年の東京モーターショーに参考出展された、フィールフリーゴー!に積まれた49cc単気筒エンジンが、油冷だった。初代と異なり、一番熱を持つ排気バルブまわりを中心にシリンダーヘッドにオイルを回して冷却を行う。

これを原点として今回現れたのが、新・油冷だ。SOCS=スズキ・オイル・クーリング・システムと名付けられたそれは、初代と同じくオイルを冷媒とし、シンプルで軽くすることを狙いつつ、初代よりも高い効率化を実現している。

初代と異なるのは、冷却用オイル経路を潤滑用と別にした点。増える重量は少しの追加オイルと少しの経路分だけ。それでも外部フィンが不要なほどに冷却効率を高めた。しかも騒音面でも有利だ。実際にはシリンダーヘッドの内部上〜周囲に約φ7mmの冷却用オイル流路が設けられ、これで熱を回収する。初代当時ではなしえなかった製造技術と、検査技術によって可能になったという部分だ。

シリンダー上部にはこれにつながる流路が設けられ、ここには、初代に通じる技術が見られた。バウンダリーレイヤーブレイカーだ。これは冷却オイル通路内側の両壁に連続した細かい段を設け、内部にできる熱だまり=熱境界層を壊し、冷却性を高めるものだ。お風呂を沸かすと上だけが熱くなり下は水というような状態から、よくかき混ぜて温度を均一化する様子を思い浮かべると分かりやすいだろう。

初代ではヘッドカバー部から燃焼室裏に毎分20L(GSX-R750(F))の大量のオイルを噴射して燃焼室裏の熱だまりを壊すことで油冷を成立させていて、ここは継承されている。 強まる規制に対していかに効率化を図るか。出力を高めつつ、廃熱を抑え燃費を高め、かつ複雑な構造を避ける。750〜1200という大きなエンジンでの効率化と軽量化を目指したのが初代油冷だとすれば、新・油冷は小さいエンジンでもスペース/パフォーマンス双方の高い効率化と軽量・小型化を目指したと言えそうだ。

 

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新しい油冷は初代油冷の思想と、MotoGPマシンGSXRRで培われた効率化をミックスして生まれたとも言える。燃焼ガスを排出し続け、エンジンで最も熱を持つ排気バルブまわりに冷却オイル通路を設けて積極的に熱を奪い、性能を高く維持させる。その通路を作るための製造方法と、製品の検査技術の進歩が可能にしたと言える。

スズキによる新・油冷エンジンの解説図。手前がエンジン前側。オイルクーラーで冷やされた冷却オイルはシリンダーヘッド背面から燃焼室裏→排気バルブまわり→シリンダー上周部と送られ熱を回収してエンジン下側→オイルポンプ→オイルクーラー(下入れ)と回る。初代では同じ経路で潤滑・冷却等も行っていた。

フィール フリー ゴー! 発表時にスズキが発表した油冷エンジン概念図。左手が排気側で、冷やされたオイル(青)はヘッドから熱を持つ排気バルブまわりに入りシリンダー上部でうねった通路を通り熱境界層を破壊しつつ冷却、熱を奪って(赤)外へ出される。今回の新・油冷の思想はこの時に既に形になっていたとも言える。

右はシリンダー周部内経路の熱境界層破壊用突起。左はヘッド周部のカットモデルで中央付近に見える穴が冷却オイル通路。この細い穴を鋳造する技術と、製品となる際の検査技術が進んだおかげで新・油冷は具体化できた。ピストンサイドのコーティングやローラーロッカーアームなどでも低ロス化している。

右はエンジン設計を担当した森 公二さん、左はジクサー/SF 250のチーフエンジニア、野尻哲治さん。SOHC4バルブはDOHCより高さも抑え小さくでき、かつ高出力化もできたとのこと。ジクサー250はこのエンジンを155㏄空冷のジクサーに載せたようなコンパクトさがあった。

 

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水冷で必要な冷却水、ウォーターポンプ、サーモスタットなどを使わないことで軽くでき、空冷よりも熱に有利にする。そのためにエンジンに元からあるもの=オイルやオイルラインを使う。それが初代油冷の思想だった。

オレンジ色がオイルの通路で、ピストンの上に見えるのが燃焼室裏のオイル溜まり。燃焼室から伝わる熱が溜まったオイル部分(熱境界層)を上からのオイル噴射によってかき混ぜ=破壊し、熱上昇を抑える。オイルは冷却と同時にエンジン全体を回り、潤滑も行う。図にはないがピストン裏側にも他のエンジン同様にオイル噴射が行われている。

初期GSX-R750の油冷解説図。奥が前で、エンジン背面のオイルラインからシリンダーヘッドカバーにオイルを上げ、カバー内の通路から各気筒の燃焼室裏(ヘッド上側)に大量にオイルを吹き付ける。このことで熱が溜まった燃焼室裏の熱境界層を破壊し熱を奪い、オイルは下に回った上でオイルクーラーで冷やされる。

初代GSX-R750のカタログから。軽量高出力なエンジンを生かす軽量で安定感のある車体がクローズアップされるが、ジクサーSF250/250でも同様の思想が感じられる。

 

※本企画はHeritage&Legends 2020年1月号に掲載されたものです。

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バイクライフを豊かにし、愛車との時間を楽しむため、バイクカスタム&メンテナンスのアイディアや情報を掲載する月刊誌・Heritage&legendsの編集部。編集部員はバイクのカスタムやメンテナンスに長年携わり知識豊富なメンバーが揃う。